シグナムの事情

 
データ整理中にふと思いついた話。
 
「ところで姐さん、ふと思ったんですけれど」
「なんだヴァイス、急にどうした」
「姐さん、届く距離に近づいて斬るしかやる事がない、とか言いましたけど。
 実際は中距離戦闘も結構イケてましたよね。なんでやらないんすか?」

「あぁ……実は、それには深い訳がある」
「おぉ、一体全体どうして?」
「六課はかなり切り詰めた運営をしていてな。経費削減の一環だ」
「は?」
「私が繰り出す技はその大部分がカートリッジを消費するのだ」
「……はぁ」
「しかし、カートリッジ代もバカにならない。
 結果的に私はひたすら近づいて斬る事を選ばざるをえない訳だ」

「いや、でもいくら切り詰めているからって……そんなまさか」
「なのはのカートリッジ消費量、おまえも知ってるだろ?」
「……」
「おまけにリミッターがかかってるとはいえ彼女は訓練も本気でやるから
 新人達はカートリッジを惜しみなく消費してぶつからねばならない。
 これでなのはのリミッターが取れたらと思うと……」

「リミッターって……経費削減も兼ねているんスね」
「リミッターが取れても大技を使えば結局消費量は増えるからな」
「なるほど……事情はわかりやした。変なことを聞いてすんませんね」
「ところでヴァイス。うちの新人達の昼食風景をどう思う?」
「あぁ。前線の連中はやっぱ消費カロリー違うんスかねぇ。
 育ち盛りもあるんでしょうが見てるこっちが腹いっぱいになるッスよ」

「主はやては聖王教会や108部隊に足を運ぶ事で食費を浮かせている
 騎士カリムやナカジマ三佐達におごってもらう事でな」

「……?」
「アコース査察官と中が良いのはケーキ代の節約のためだ」
「……姐さん?」
「ザフィーラの日々の食事は基本ドッグフードで済ませている。
 人の食事にありつける事はあまりない。」

「姐さん? ちょっと、姐さん?」
シャマルの空き時間の仕事は専らカートリッジの精製だ。
 あの沈んだ表情でひたすらカートリッジに魔力を注ぐ様……
 10年前など比ではない。まかなう人数も量もまるで違う」

「姐さん! しっかりしてください姐さん!」
「私もなるべく体力を消費しないようにこうして休息をまめに取るのだ」
「働けよニート
 
 

アムドライバー勢となのは勢の武装面での差別化を考えて
カートリッジシステム本格導入を試したらシグナムの継戦力が酷い罠。
通常攻撃と陣風以外全部カートリッジ消費って。そりゃー辛いわ。
そう考えると紫電一閃はカートリッジ一発であの威力は経済的だよなぁ。
 
シグナムは交替部隊の隊長も務めてたわけで。
実際問題、けっこう大変だったと思うんだ。外回りもしてたし。