巴マミでたどる「魔法少女かずみ☆マギカ」考察 〜「かずみ」のせいでマミさんの因果がやばい〜

 
一人の少女が魔法少女としての運命を背負い、そして魔女となって散りました。
 
(この記事は「魔法少女かずみ☆マギカ」第4巻までのネタバレを含みます) 
 
彼女の名前は和紗ミチル。「魔法少女かずみ☆マギカ」のはじまりを司る少女です。
 
ミチルは魔女のくちづけを受けて集団自殺に走った6人の少女、
御崎海香・牧カオル・宇佐木里美・若葉みらい・神那ニコ・浅海サキの命を救います。
そして、彼女達もまたミチルの話を受けて、魔法少女の契約を交わしたことにより、
あすなろ市を根城にする魔法少女パーティー「プレイアデス聖団」が結成されます。
 
しかし、彼女もまた魔法少女が迎える残酷な結末から逃れることはできませんでした。
ソウルジェムが魔女を生む。この真実を知ったミチルは、6人の仲間をこの絶望の運命に
まきこんでしまったという自責の念に押し潰され、彼女自身も絶望に飲まれ魔女と化します。
ミチルの魔女化という悲劇によって、残されたプレイアデス聖団の魔法少女達もまた、
この先自分たちに待ち受ける絶望の運命を思い知ることとなります。
 
そして、この運命を乗り越える為に、プレイアデス聖団の闘いの日々がはじまります。
魔法少女システムの否定を誓い、魔法少女狩りのプレイアデス」と呼ばれながらも
彼女達はミチルの想いを絶望で終わらせない為に、闘い続けるのでした。
 
魔法少女かずみ☆マギカ』の背景をかいつまんで説明すればこのようになります。
すなわち、ミチルが魔法少女の契約を結び、魔女となって消えた。
この二つの出来事が「かずみ」の世界を生み出したと言えるでしょう。

そして、このミチルが魔法少女となったきっかけを作ったのが、巴マミでした。

巴マミは、あすなろ市に遠足で訪れた折、魔女の結界に迷い込んだミチルを救い出します。
名乗ることなくティロ・フィナーレを決め、そのまま颯爽と去っていた巴マミ
しかし、そのかたわらにいたキュゥベェが、ミチルの抱える悩みと魔法少女としての素質を
見出し、彼女を魔法少女に勧誘。ミチルは魔法少女の運命を受け入れ、契約を交わします。
巴マミとの出会いが、結果的に和紗ミチルを魔法少女の道へと歩ませたのでした。
 
彼女がミチルに与えた影響はいわんをや。ミチルは自身の魔法にイタリア語で名付け、
具現化する武器としてマスケット銃やリボンを採用するだけに留まりません。
仲間たちの技名まで考案し、それを実際に使用させる始末。ネタ帳はもちろん完備。
 
かくして『魔法少女かずみ☆マギカ』はかくもマミリッシュな世界になったのでした。
 
しかし、巴マミの存在があすなろ市に与えた影響は、7人の魔法少女を生み出し、
厨二心くすぐる世界観を開いただけに収まらないことに気付きました。
 
ミチルが絶望に飲まれ魔女になったのは、魔法少女のなれの果てが魔女であることを知った為です。
このような結果を生み出す原因を過不足なく表すなら、以下の一文で表現できます。
「ミチルが"魔法少女として認知している"魔法少女ソウルジェムから、魔女が生まれる」
以上の光景をミチルが目撃しなければなりません。
 
まず、この時、魔女になった魔法少女は誰で、それはいつだったのでしょうか。
海香の記憶操作が見せたビジョンと里美の証言のシーンが一致しない為、断言は出来ませんが、
この時魔女になった魔法少女は、飛鳥ユウリの可能性が非常に高いです。
 
海香のビジョンの中で、ミチルはある人物を新たな仲間として加えようと、
残りの六人を引き合わせようにしていました。その矢先に魔女の結界が出現、
そこでユウリの魔女ARZT KOCHENが出現、これを討伐しています。また、4巻のミチルの日記より、
ミチルはユウリとプレイアデス聖団の6人より前に知り合っていたことが示唆されています。
つまり、ミチルが新たにくわえようとしていたのはユウリを示していると思われます。
 
海香のビジョンでは、ユウリの魔女化をプレイアデス聖団が目撃したかのように編集されていましたが、
実際はプレイアデス聖団が初めて魔法少女の魔女化を目撃したのはミチルが魔女になったのが初です。
(海香たちは、魔女の結界の出現を知ってから、ARZT KOCHENの元に向かっている為、
 そもそも海香たちはユウリが魔女化する瞬間を目撃できなかったのではないでしょうか)
 
よって、ミチルが魔法少女の真実を知り、魔女化するまでの実際の時系列は以下の通りになるはずです。
 
1.ミチル、ユウリを仲間に勧誘し、プレイアデス聖団とあすなろドームでひきあわせる約束
2.ユウリ、あすなろドームで魔女化 ARZT KOCHENの結界が発生 ←これをミチルが目撃
3.ARZT KOCHENの結界に気付いたプレイアデス聖団、ARZT KOCHENを討伐
4.魔法少女の真実を知ったミチル、後日、プレイアデス聖団の目の前で魔女化
 
しかし、これだけではまだわからないことがあります。
すなわち、ミチルとユウリはいつ知り合い、そのきっかけはなんだったのでしょうか。
 
これもまた、ミチルの日記にそのヒントが記されていました。
どうやらミチルは、ユウリとある魔法少女の闘いの仲裁に入ったことがあるようです。
このユウリは、注射器型の武器を持っているため、本物の飛鳥ユウリで間違いないようです。
むしろ、ここで問題となるのはユウリと一触即発にある魔法少女です。
どうみても佐倉杏子です。本当にありがとうございました。……なぜ、ここにいる。
 
飛鳥ユウリは見知らぬ人々の為に魔法を惜しみなく使った結果、魔女化しました。
そのような他人の為に魔法を行使する魔法少女に刃を向ける杏子は、どう見ても
TV版本編に登場する、「利己的に生きる道を選んだ」佐倉杏子です。 
 
そんな彼女があすなろ市に足を運び、他の魔法少女と事を構えるということは、
ユウリと杏子の遭遇はフェアウェル・ストーリーよりも後の出来事と考えるべきでしょう。
そして、ミチルの仲裁が結果的にミチルとユウリの交流を生み出したのではないでしょうか。
 
つまり巴マミ佐倉杏子が決裂し、マミが杏子を引きとめられなかったことが結果的に、
ミチルとユウリが交流を深めるきっかけを作り出した可能性が存在する……!

 
これが事実なら巴マミがあすなろ市に与えた影響はとんでもないことになります。
和紗ミチルの魔法少女としての契約は、さらに六人の魔法少女を生み出しました。
たった一度の人助けが芋づる式に7人の契約を生み出しただけでも大きな因果ですが、
しかし、ユウリの魔女化とその魔女ARZT KOCHENの討伐は、結果的に
さらにプレイアデス聖団への復讐を誓う2人魔法少女を生み出します。そして、
ミチルの魔女化は結果的に40人近くの魔法少女を巻き込む巨大な運命へ発展します。
 
それもこれも、全部巴マミっていう魔法少女の(偶然の)仕業なんだ。もしかしたら、ね。 
 
魔法少女が50人規模で関わる事件というだけでも相当な因果の糸が絡み合うのを感じますが、
この因果の糸がマミさんの魔法少女としての日常の一端からのびていることに戦慄せざるをえません。
インキュベーター曰く、魔法少女の素質は抱え込んだ因果の量で決まると言いますが、
これならあの淫獣をしてベテランとよばれたマミさんの強さにも納得というものです。
マミさんは、行く先々で人助けをしてはこんな因果を撒き散らしているのでしょうか。
 
『かずみ』のせいでマミさんの因果がヤバい。 
 
そんなマミさんの因果が生み出した一つの可能性、『魔法少女かずみ☆マギカ』最終話が
本日、まんがタイムきららフォワードに掲載されます。一足先に楽しんでくることにします。